事例でわかる相続の知識
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2021/04/22
土地を売って現金で相続するなら、信頼できる方法・業者で
一通の遺言によって、納得できない相続となってしまったAさんの相続についてご紹介します。
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(平成24年8月16日 国税不服審判所決済より)
Aさんは、次のような内容の遺言を残して他界しました。
・遺産である土地を売却して得た現金を長男と次男に相続させる。
・土地の売却手続きに関する一切の権限は、遺言執行者である〇〇信託銀行とする。
・〇〇信託銀行の遺言執行報酬や土地売却にかかる諸経費は長男と次男で折半する。
この遺言によって、実際にどのようなことが起きたのでしょうか。
① 土地をいいように売られてしまった・・・
遺言執行者の権限は法律で守られています。
よって、この遺言の通り、遺言執行者である〇〇信託銀行は土地の売却をすることができます。
それも、相続人の意向に一切従うことなく。
売却希望金額についても、口をはさむことはできません。
実際の売却額は、6,500万円でした。
しかし、後に登場する審判所は時価を1億2,500万円とみています。
つまり、時価の約半値で売られてしまったわけです。
② 相続税の税務調査
この売却した土地の相続税評価額は1億円でした。
しかし、実際の売却額である6,500万円を土地の評価額として相続税申告をしました。
すると、税務調査が入り、その土地の相続税評価額は1億円だと言ってきたのです。
当然、相続人は納得できません。
安く売られた上に、相続税申告の際には1億円として評価するよう言われたわけですから。
そこで、相続人は、国税不服審判所でこの土地の評価額を巡って争いました。
相続人の主張は次の通りです。
・遺言執行者の売却に従うしかなかった。
自分の意志ではどうにもならないのだから、
実際に売れた6,500万円が時価だ。
・故意に土地の売却額を下げるように売り急いだわけでもない。
開発用地だから安くなった。
税務署側からすると、
・6,500万円は買主の希望する言い値だったから時価とは言えない。
・相続開始から2か月での売却は売り急ぎであり、不特定多数間で決まる時価とは異なる。
・公示価格と近隣取引事例にとる実勢価格は1億1,800万円だ。
両社の主張を受け、国税不服審判所は・・・
・売却土地の利用状況、環境、地籍、経常等は公示地と全く同一で、開発用地に限定されない。
・財産評価通達では、
『「特別の事情」がある時に限り、路線価図によらない時価での申告を認める』とあるが、
本件は特別の事情があるとは言えない。
これらの事情から、税務署の処分を適法と裁決しました。
なお、この時、前述のとおり、国税不服審判所は時価を1億2,500万円と認識しています。
結果、この不動産を買った買主は、土地を安く仕入れて、
たった2ヶ月で売却まで済ませて得をしました。
遺言執行者の〇〇信託銀行も職務を2か月で済ませたわけですから、得をしました。
相続人は、この土地をいいように売られてしまったあげく、
相続税をたくさん持っていかれ、損をしました。
このような遺言を残していなければ・・・
信頼できる不動産屋さんに依頼して丁寧に売却できたら・・・
そうすれば、もっと相続人の立場に立った相続がされたかもしれません。
遺言は、相続争いを防いだり、手続きを簡単にさせたりとメリットが多いですが、
利用の仕方によっては、このような悲劇を招いてしまうこともあります。
信頼できる業者を選定し、安心して任せる基盤を作ることが大切です。
㈱バード財産コンサルタンツ
「バードレポート 第1014号」より
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