事例でわかる相続の知識
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2021/04/22
遺言が原因で争いに ー責任感の強い長女の変貌ー
遺言があったために相続争いとなり、解決まで長期間かかった例があります。
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Aさんの家族は、妻Bさんと長女Cさん、次女Dさんの4人です。
娘は2人とも結婚してそれぞれ家庭を築いています。
長女Cさんは夫と娘、次女Dさんは夫と息子と暮らしています。
そのうち、Aさんが亡くなりました。
相続人は、妻Bさんと長女Cさん、次女Dさんの3人です。
財産は、預貯金と不動産。
また、「遺言」と書かれた自筆証書遺言と思われる封筒を、相続人全員が確認しています。
長女Cさんは、遺言について書籍を読み、妻Bさんと次女Dさんに言いました。
「自筆証書遺言は家庭裁判所に検認という手続きをしないと開封してはいけないらしいよ。
私が検認の段取りをするから、この遺言は預かるね。」
妻Bさんも次女Dさんも、責任感の強い長女Cさんの言葉に安心して納得しました。
しかし、長女Cさんは、友人からの一言で不安になります。
「遺言の内容はまだ見てないの?
不安じゃない?
もしCさんに損があるようなことが書かれていたらどうするの?」
Cさんはこの不安に耐えられず、検認前に遺言を開封してしまいました。
そして、その内容に愕然としました。
内容は、Aさんの血を引く男子である次女Dさんの息子へ実家の家・土地を含む不動産を継承させるものでした。
もう検認どころではありません。
長女Cさんは、人が変わったように相続についての話し合いを拒むようになりました。
その後、数か月間かけ、妻Bさんと次女Dさん、長女Cさんの家族からの説得もあり、
ようやく相続について話し合いができるようになりました。
そして、相続人全員の同意で、遺言とは違う遺産の分配方法で決着することになりました。
妻Bさんや次女Dさんが、長女Cさんに対する思いやりをもって話をされたので、
調停や裁判にならなかったことが唯一の救いです。
遺言を作成する際は、争いにならないような配慮、
もしくは争いになった時の対策をあらかじめ考えておくことをお勧めします。
また、付言事項などで遺言者の思いを伝えれば、争いを防げるかもしれません。
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