事例でわかる相続の知識
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2021/04/01
養子縁組で増税になることも
70歳で亡くなったAさんの遺産にかかる相続税にまつわる事例をお伝えします。
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相続税には、「基礎控除」と言って、
相続人の数によって最初から相続財産の総額より差し引いて税金の計算をすることができる仕組みがあります。
基礎控除額よりも相続財産が多い場合、相続税は課税されません。
基礎控除の計算方法は、
3,000万円+(600万円×相続人の数)
となります。
Aさんには、妻も子供もいなかったので、相続人は兄弟姉妹などの7名となり、
相続税の基礎控除額は
3,000万円+(600万円×7名)=7,200万円
となる予定でした。
しかし、この「予定」は予定通りにいかず、
実際には基礎控除額が3,600万円となってしまい、
想像以上に多額の相続税を支払うことになってしまったのです。
なぜ、相続税の基礎控除額が半分になり、莫大な相続税がかかることになってしまったのでしょうか。
その経緯をお伝えします。
Aさんは独身で、身の周りのことや財産の管理はすべてきちんとご自身でされており、
兄弟姉妹の世話になることもありませんでした。
しかし、姪であるBさんが時々訪れては「おじさん、元気?」と様子を見てくれていました。
その姪Bさんが一緒にお茶を飲んだり世間話をしてくれたりする気遣いが嬉しく、
Aさんにとって何よりも楽しみでした。
Aさんはいつしか、姪Bさんを自分の娘のように思うようになっていました。
穏やかな日々を過ごしていたAさんですが、ある日、ガンによる余命の宣告を受けます。
Aさんは、ご自身の財産を姪Bさんにあげたいと考えました。
そこで、Aさんは姪Bさんに、自分の養子になって欲しいとお願いしました。
姪Bさんも、自分のできる範囲でAさんの葬儀やお墓の世話、供養などをするつもりだったので了承しました。
この養子縁組によって、Aさんの相続人は姪Bさんのみになります。
姪Bさんは財産のすべてを受け取ることができますが、相続税の申告義務も負います。
相続税の基礎控除額は、相続人が1人なので、
3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円
となります。
この事例では、いくら自分の娘のように大切に思っても、
公正証書遺言で財産を渡した方が得策でした。
公正証書で遺贈者を決める時、
もともとの法定相続人の範囲は変わらず、Aさんの兄弟姉妹7名のままです。
そしてAさんが姪Bさんにすべての財産を遺贈しても、
兄弟姉妹には遺留分の侵害額請求権はありませんから、
財産のすべてを姪Bさんに渡すことができるのです。
もっと早くAさんから事前の相談を受けていればよかったと思うケースでした。
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