事例でわかる相続の知識
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2022/01/23
相続手続き 10のポイント
相続手続きの流れ
この記事の内容
調査(相続人調査と相続財産調査)
戸籍謄本を収集して判読の上、相続人を確認する『相続人調査』と亡くなられた方がどんな財産を持っていたかを調べる『相続財産調査』に分かれます。
遺品整理をする中で、固定資産税の納税通知書や預貯金の通帳、生命保険契約証書、また遺言書の有無についても気をつけましょう。
遺産分割の話し合い
遺言書が無い場合は、亡くなられた方の遺産をどのように分けるか相続人全員で協議します。
合意できたら、分割内容を遺産分割協議書にまとめて相続人全員の署名、実印捺印で遺産分割協議書が完成します。
本人が署名捺印したことの証明として、相続人全員の印鑑証明書も一緒に保管しておきましょう。
解約・名義変更の手続き
財産毎に手続きの窓口が異なります。預貯金口座はそれぞれの金融機関、不動産の登記は法務局で行うことになります。
『遺産分割協議書』、『相続人全員の印鑑証明』及び後述の『基本セット(戸籍書類)』に加えて、各窓口で専用の手続書類への記入や証明書の提出を求められます。
上記の3点は様々な相続手続で共通に求められます。
役所や金融機関の手続は平日の営業時間内でしか行うことができません。
相続人調査から遺産分割協議書の作成、解約・名義変更の手続きまで当相続専門家協会にお任せいただけます。
相続手続きに期限がある!?
様々な相続に関するご相談の中で「いつまでに手続きしないといけないのですか?」
というご質問をいただきます。この手続きの期限についてご説明します。
4つの期限
いくつもある相続手続きの中で、期限のある手続きとしては、次の4つです。
「相続放棄と限定承認」「準確定申告」「相続税申告」「遺留分侵害額請求」
この4つ以外の手続きには、特に期限はありません。
●『相続放棄と限定承認』→『3か月』(民法第915条)
相続放棄は、亡くなった人の財産(債務を含む)の全てを相続しないことを確定するための手続きで、相続開始後3か月以内に被相続人の最期の住所を管轄する家庭裁判所へ申し立てを行う必要があります。(民法第915条~917条)
相続人各自で申し立てができ、借金を背負いたくないという相続人はもちろん、相続に関わりたくない、財産は一切もらうつもりがない、といった相続人がとるべき手続きです。
また、限定承認は、亡くなった人の財産を清算して、財産が余れば相続するという手続きです。こちらも相続開始後3か月以内の手続きです。相続放棄とは違い、相続人全員で申し立てを行う必要があり、亡くなった人の借金の額がはっきりわからないといったケースの場合に取られる手続きです。(民法第922条~926条)
●『準確定申告』→『4か月』
準確定申告は、亡くなった人の所得税や消費税の確定申告を税務署に提出する手続きです。
(所得税法第16条・85条・124条・125条、所得税法施行令第263条、所得税法施行規則第49条、所得税法基本通達85-1・124・125-4)
相続開始後4か月以内に被相続人の申告と納税を相続人が行わなければなりません。
例えば、令和3年10月10日に亡くなったとします。すると、令和3年1月1日から10月10日までの所得税申告を令和4年2月10日までに行うことになります。通常は2月15日から3月15日に申告及び納税をすることになっていますが、亡くなった方の申告はそれとは異なりますので注意が必要です。
●『相続税申告』→『10か月』
相続税申告は、亡くなった人が残した財産をに対する相続税を支払うための申告のことです。
(相続税法第27条・33条・38条・39条・41条・42条・附則3、国税通則法第10条・34条・60条・65条・66条、相続税法基本通達27-1・27-3)
相続開始後10か月以内に税務署に申告と納税を行う必要があります。
こちらは遺産額が比較的多い方にかかるため、どこのご家庭でも発生するわけではありません。
ただ、申告の作成作業は非常に複雑で必要書類や確認すべき項目も多く専門性が高い手続きです。
個人でできるレベルではないため申告が必要かどうかも含め、早めに税理士に相談すべき手続きですね。
●『遺留分侵害請求』→『1年』(民法第1048条)
遺言書により相続を行う場合、遺言により最低限の相続分(遺留分)以下の財産しか相続できなくなってしまった相続人は、他の相続した人に対して、遺留分侵害額を請求することができます。
その請求手続きは、相続開始後1年以内に請求する必要があります。
(民法第1046条~1049条)
昨年の民法改正により、金銭請求となりましたから、請求はしやすくなりました。
請求される場合には弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
相続開始って、死亡日のこと?
さて、話に出てきている相続開始とは、死亡日と考えるのが一般的だと思います。
ですが様々な事情があり、死亡日にはその事実を知らなかったというコトがありますよね。
例えば「両親が離婚して離れて暮らしていた」「家族とけんかして音信普通となっていた」などです。
その場合、死亡日からすでに半年が過ぎた時点で連絡が来たので、放棄ができない、となってしまうとどうでしょう。
背負いたくもない借金を引き受けることになってしったり、請求できる権利を使えなかったりというコトになります。
このお話でいう、相続開始とは「相続の開始を知った日」と理解してください。
期限を確認するためには大事なポイントです。間違えないようにしましょう。
相続手続き おさえること
相続財産とは?
預金や不動産、権利など様々な種類がありますが、ここで抑えておくべきは、その財産が『相続人間で合意が必要な財産なのか』です。
よく例に挙がるのが生命保険の死亡保険金です。受取人が指定されている場合は、指定された受取人の固有財産となるため、分割対象にはなりません。※ただし、著しく不公正である場合は民法903条の類推適用により特別受益に準じて持戻しの対象となります。
(最高裁判所判例集(平成16年10月29日)事件番号平成16(許)11)
では、同じ生命保険契約に特約として加入している医療保険や入院保険の保険金はどうでしょうか。
この場合、受取人は通常ご自身(=被相続人)ですから、遺産分割の対象となります。
遺言書の有無でその後の手続が変わる!
遺言書がある場合は原則として、遺言書に記載の内容通りに進めることになります。
ただし、次の条件付きで遺言書とは異なる内容で分割することも可能です。
・遺言で遺産分割が禁止されていないこと(民法第908条)
・相続人全員の合意
・遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意
・相続人以外に受遺者がいる場合は、受遺者の同意
包括受遺者(割合で指定されている)→遺産分割協議に参加
特定受遺者(対象物が指定されている)→特定遺贈を放棄する意思表示
※家裁への申立ては不要
なお、法務局に預けていない自筆の遺言書が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所で検認を申し立てる必要があります。
(民法第1004条)
どこまでが相続人?
相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合(代襲相続)や、数代前のご先祖様の名義のままになっている不動産の手続きを進める場合(数次相続)、相続関係が複雑になってきます。
(民法887条)
特に数代前のご先祖様の場合は、旧民法の家督相続制度も考慮する必要がある場合も。
後述の『④相続で必要な書類』及び『⑥相続手続きでつまづきやすいポイント』に記載のとおり、先代以前の相続手続をお考えの場合には、必ず専門家に相談されたほうが良いでしょう。
相続で必要な書類
全ての手続で共通。『基本セット』
①被相続人(亡くなった方)の出生から死亡に至るまでの連続した戸籍謄本
②相続人の戸籍謄本(又は抄本)
※謄本とは、戸籍に記載されている全員の証明です。
抄本とは、戸籍に記載されている一部の方の証明です
上記2点は、ほとんどの手続きで必要とされます。
①は被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。
戸籍を請求するにはは「本籍」と「筆頭者」の情報が必要です。
不明な場合は、先に住民票の除票(本籍、筆頭者記載)を取得して確認しましょう。
なお、普通に住民票の除票を請求しても本籍・筆頭者情報は記載されないので、窓口の方に『本籍と筆頭者の情報の記載のあるものをお願いします。』と依頼してください。
②は各相続人の現在の戸籍を取得してください。
『基本セット』は何部必要?
原本が1部あれば足ります。
手続毎に必要と思われがちですが、『コピーを提出&原本を提示』することで、原本は返却されます。
(何も言わないと原本が戻ってきませんので気をつけましょう。)
何かと便利な『法定相続情報一覧図』
『基本セット』の相続関係を1枚の紙に図としてまとめたうえ、法務局に認証されたものです。
メリットは次の2点です。
・窓口での待ち時間を短縮できる!
・複数の手続を同時に進めることができる!
兄弟姉妹の相続、数次相続等の場合は、窓口で1時間以上待つこともありますが、法定相続情報一覧図があれば、手続き窓口の方が戸籍を判読する必要がないためスムーズです。
また、金融機関の残高証明取得等を郵送等で同時に進めることもできます。
ただし、口座の解約等の場合は後述の遺産分割協議書と印鑑証明書(いずれも原本)が別途必要になります。
遺産内容により必要な書類
(不動産がある場合)
・固定資産評価証明書
・不動産登記事項証明書
・被相続人の住民票の除票(又は戸籍の附票)
※不動産登記事項証明書に記載の被相続人の住所と住民票に記載の住所が異なる場合は、遡って戸籍の附票等が必要な場合があります。
(相続税がかかる場合)
・金融機関残高証明書
・保険に関する権利の解約返戻金相当額証明書
・死亡後に支払った債務の領収書
※上記以外に金融機関の取引履歴や土地の公図・地積測量図等、状況によって必要な書類もあります。相続税専門の税理士に相談のうえ、収集しましょう。
以上のように、遺産の内容や手続きの種類によって必要な書類は多岐にわたります。
時間の余裕がある方なら、ご自身で収集することもできるかと思いますが、
『役所が開いている平日に動くことが難しい』
『あちこち窓口を回るのはしんどい』
『移動手段がなくて困っている』 ・・・など
ご遺族の状況によっては困難な場合も少なくありません。
もし、書類の収集でお困りの場合は、私たち相続専門家協会があなた様に代わって取得することもできますのでご相談ください。
遺産分割協議書って、なくてもいいの?
「遺産分割協議書」とは
『遺産』の『分割』について『協議』し、合意した内容を相続人全員で証明した『書』類です。
権利者(=相続人)全員が証明しているため、遺産の名義変更や解約は、基本的に遺産分割協議書を関係各所に提示して行うことになります。
また、遺産が預貯金のみの場合、各銀行等の窓口で手続書類を貰って、記入のうえ相続人全員の署名&実印で足ります。
この方法を執る場合必ずしも遺産分割協議書は必要ありません。
ちなみに、相続人が一人の場合は協議の必要がないため、遺産分割協議書も必要ありません。
銀行の書類と遺産分割協議書
銀行の手続書類は、遺産分割協議書の有無により、書き込む内容が異なります。
遺産分割協議書が有る場合、手続書類に記入&実印が必要な人は、その預金を引継ぐ相続人のみで足ります。
遺産分割協議書が無い場合、手続書類には相続人全員の署名・実印が必要です。
不動産があれば遺産分割協議書は必須!
銀行口座等と違って、特定のフォーマットが無いため、必ず遺産分割協議書を作成する必要があります。
(相続人が1人のみの場合は不要です)
上記銀行書類と不動産限定の遺産分割協議書を別々にする場合の、内容の不整合には気をつけましょう。
例えば、先に銀行の手続書類のみで口座を解約し、後から不動産限定の遺産分割協議書で不動産名義変更手続きを行う場合。
後者に『本協議書に記載のない被相続人の積極財産は〇〇が相続する。』と記載し、前者(銀行書類)の内容と異なると問題があります。
インターネットでひな型をダウンロードして自作された場合に多く見られます。
手続き自体は遂行できるでしょうが、相続税申告がある場合は、税務署から指摘される恐れがあります。
相続手続きでつまづきやすいポイント
古い戸籍の判読と請求
戸籍を収集される際に、被相続人の本籍地がずっと同じ市区町村内であれば難しくないのですが、他の市区町村から入籍してきた場合等は1か所の市区町村役場で全て揃えることができません。
その場合は、死亡時の戸籍から遡って入籍前の市区町村と本籍・筆頭者情報を読み解き、別の市区町村役場へ郵送等で請求することになります。
なお、古い戸籍は小さい文字を手書きで記載しているためとても読みにくく、昔の法律が適用されるケースなどもあり、不慣れな方にとっては非常に難解な作業になると思います。
書類には有効期限がある!?
有効期限があるのは、『印鑑証明書』です。
金融機関の手続きの際に、発行後6か月以内のものを求められます。
(金融機関によって異なります。3か月以内を指定される場合もあります。)
早く取りすぎると、取り直しになるため注意しましょう。
相続人に未成年者・外国人・音信不通者がいる場合
●未成年者がいる場合
未成年者は民法上の制限行為能力者に該当し、法律行為(遺産分割協議書に参加する等)を行うことができません。
通常は、法定代理人(親権者)が代わって行いますが、相続に関する場合、法定代理人(親権者)自身も相続人に該当することがあります。
そうすると、親子の利害関係が競合するため(利益相反)、この場合は親権者に代わって、利害関係のない別の人を特別代理人として家庭裁判所に申立てる必要があります。(民法826条)
●外国人がいる場合
日本人であれば戸籍書類で相続関係を証明することができますが、外国人の場合は、相続人であることの証明を戸籍以外の方法で行う必要があります。
外国の公的機関の発行した証明書と、その日本語訳等が必要となるため時間と手間がかかります。
また、遺産分割協議書への署名捺印の際にもひと手間かかる場合があります。
日本で住民登録をされている場合は、管轄市町村役場で印鑑登録&印鑑証明書の発行が可能ですが、外国にいらっしゃる場合は在外の領事館等でのサイン証明という方法が必要になります。
●音信不通者がいる場合
『基本セット』を収集する際に、相続人の『戸籍の附票』を一緒に取り寄せておくと、現在の住民登録上の住所は判ります。
遺産分割協議は相続人全員の協議が原則であるため、一人でも欠いた状態で行った遺産分割協議は効力を持ちません。
音信不通者が住民登録上の住所に住んでいない等、連絡手段をすべて尽くしても連絡が取れない場合は、次の方法を執ることになります。
①『不在者財産管理人の申立て』(民法第953条)
不在者に代わって財産を管理する人という意味ですが、管理以外に権限外行為の許可を受けることで音信不通の相続人に代わって遺産分割協議に参加することができます。(いずれも家庭裁判所に申立てが必要です。)
家庭裁判所の判断によっては、親族ではなく弁護士や司法書士等が選任されることもあります。
※相続関係者(相続人の家族など)はなれません。
②『失踪宣告の申立て』(民法第31条)
音信不通者を、法律上亡くなったものとみなす制度です。
7年間消息不明な場合に、遡って亡くなったものとみなす『普通失踪』と、戦争や災害後に消息を絶ち、その危難が去った時に亡くなったものとみなす『特別失踪』があります。(いずれも家庭裁判所に申立てが必要です。)
※その方の年齢や事情によっては家庭裁判所は認めない場合もあります。
ちょっと特殊な『ゆうちょ銀行』の手続き
手続の流れ
<手順①>『相続確認表』
ゆうちょ銀行ホームページより『相続確認表』をダウンロードしましょう。
プリントアウトして記入のうえ、最寄りの郵便局の窓口に提出します。
<手順②>『必要書類のご案内』到着
手順①から2週間程度で手続き書類が送られてきます。
その書類に必要事項を記入し、相続人全員の署名&実印捺印(又は遺産分割協議書添付)のうえ、戸籍謄本等の必要書類を同封して手順①と同じ窓口に提出します。
<手順③>『解約したお金の受取』
解約したお金は、手順②から約2週間前後で払戻指定口座へ振り込まれます。
払戻証書を指定した場合は払戻証書が送られてきます。郵便局の窓口で受け取ってください。
手続き上の注意点
●念のため『口座の照会』も行いましょう!
ゆうちょ銀行の場合、手続書類に記載されている口座以外は受け付けてくれません。
つまり、ご遺族が把握していない故人名義のゆうちょ口座が他にあったとしても、わざわざ教えてはくれません。
念のため『貯金等照会書』も上記手順①の際に一緒に提出しておきましょう。
後日、故人名義の全てのゆうちょ口座が記載された照会結果が郵送されてきます。
なお、他の金融機関では戸籍謄本等、故人との身分関係の分かる資料を持参すればその場で教えてもらえます。
●払戻金の入金口座に制限!?
ゆうちょ銀行の相続手続(解約)後の払戻口座は、ゆうちょ口座のみ指定できます。
他の銀行等の口座を指定することはできません。
受取る方がゆうちょ口座を持っていない場合、ゆうちょ銀行特有の『払戻証書』による方法を選択することもできます。
文字通り証書なので、ゆうちょ銀行の窓口で現金に換金することができます。
ただし、換金した現金をその場でゆうちょ銀行以外の金融機関口座へ直接振り込むことはできません。
つまり、大金を持ち歩くことになってしまいます。
防犯上の問題があるので、手続の前に、受取る方のゆうちょ口座を作っておくほうが良いでしょう。
意外と見落としやすい相続手続き
通帳がない銀行口座
故人が一人で管理していて、家族に金融資産の情報を一切共有していなかった等、預金の存在が不明な場合の対応方法についてご説明いたします。
●それぞれの金融機関の窓口で照会する。
ゆうちょ銀行
自宅から近い金融機関
JAバンク(農業をされていた場合)
地域でよく利用されている金融機関
都市銀行の支店 ・・・等
※窓口へ訪問される際に、④相続で必要な書類で紹介した『基本セット』を提示してください。
かけてた気がする生命保険
生命保険に関する情報も、故人が生前に話したり、亡くなった後に証書等が出てこなければ、遺族はその存在を知ることができません。
現在では一般社団法人生命保険協会で全ての保険会社の死亡保険について照会できるようになりました。(https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/decease/)
なお、照会できるのは死亡保険金のみです。
端株(はかぶ)の処理と未収配当の受領
端株とは株式の銘柄毎に決められた売買の最小単位に満たない株式のことです。
株券の電子化までに預託されなかった株式(タンス株)は、証券会社ではなく株主名簿を管理する信託銀行等で管理されています。
よって同じ銘柄であっても証券会社で管理している株式と信託銀行等で管理している株式(端株)が存在していることになります。
どちらか一方の手続きのみ行えば良いわけではなく、どちらの手続きも必要です。
株主名簿を管理する信託銀行等から『配当金計算書』が郵送されている場合は、気をつけましょう。
株式を所有していたかどうか分からない場合でも、証券保管振替機構(通称ほふり)で調査することができます。
抵当権等の外し忘れ
通常、不動産の所有権移転登記は相続手続きの中で行われます。
登記事項証明書(登記簿謄本)の『乙区』に知らない抵当権の記載を見られて、「何か借金が残っているの?」というご相談を受けることがあります。
●抵当権とは?
不動産を担保に金融機関等からお金を借り入れて、その登記された権利をいいます。
●放っておいてもいいの?
その不動産をずっとご自身で所有して入れば特に問題はみあたりませんが、売却する際には外しておく必要があります。
多くは、過去にご自宅を建てた時のものが、完済後そのままになっているパターンです。
完済した借金の記録がいつまでも残っている状態が続いているので、相続のタイミングで忘れずに外されるのが良いでしょう。
デジタル遺産の相続手続き
●デジタル遺産ってどんなもの?
代表的なものは次のようなものです。
▼財産性のあるもの ▼財産性のないもの ネットバンク口座 SNSアカウント 仮想通貨、電子マネー サブスクリプション契約 FX(外国為替証拠金取引) メールアカウント 各種ポイント(マイレージ等) PCやスマホに記録された写真や動画 ご自身にも当てはまるものが多いのではないでしょうか。
これらのほとんどは、PCやスマホを使ってログインして利用するものです。
ログインするためにはIDとパスワードが必要なのですが、契約者でも覚えていないことが多く(スマホなどに自動で記録)、遺族にもその存在を知られにくいものと言えるでしょう。
●大事な『ID』と『パスワード』
デジタル遺産とは、遺族に気付かれにくいため、相続手続においては契約者となる方に配慮が求められると言えるかもしれません。
まず、どのようなデジタル遺産があるのか? また、それぞれの『ID』と『パスワード』を一覧にまとめたもの(エンディングノート等)を作っておき、いざというときはご遺族に気付いてもらえるようにしておくと良いでしょう。
●放っておくとどうなる?
月額課金制のサービス等は自動更新契約となっていることが多く、解約をしなけ
れば、ずっと費用がかかってしまいます。
また、財産制のあるものは遺産分割協議書に記載がない場合には所有権が移せません。
自分でできること 専門家に頼むこと
自分でできる手続き
相続手続きのご相談を受ける際「自分でできますか?」と聞かれることがよくあります。
結論を言うと、ご自分で全て手続することは可能です。
ただし、膨大な時間と労力がかかります。
もっとも、全てをご自身ですることは困難ですが、年金を含めた役所の手続き等は、専門家に依頼せずに、ご遺族が動かれても良いでしょう。
専門家に依頼するべき手続き
相続手続きの中でも『権利』に関する手続きと『相続税申告』に関しては、慎重を期して専門家に依頼される方が良いでしょう。
遺言がない場合は、『権利』に関して相続人全員で合意した文書(=遺産分割協議書)が必要です。
インターネットで検索すると沢山のひな形がヒットしますが、そのまま使用してしまうのは危険です。
実際に自作の遺産分割協議書を持込まれることもありますが、手直しをしなければ手続きを実行できないものが多く見受けられます。
場合によっては、作り直したうえ、再度相続人全員に署名捺印を求めなければならないこともありますから、最初から専門家に相談された方が良いでしょう。
専門家ごとの業務範囲について
ひとくちに相続の専門家といっても、内容によってそれぞれ専門家が異なります。
行政書士 相続関係説明図の作成
(戸籍等基本セット収集を含む)
遺産分割協議書の作成
行政届の作成及び提出司法書士 不動産の所有権移転登記
抵当権の抹消登記
相続放棄の手続き
自筆遺言の検認手続き
特別代理人選任の手続き税理士 相続税申告
準確定申告宅地建物取引士 不動産売買の仲介 弁護士 遺産分割協議の交渉代理
調停代理
訴訟代理土地家屋調査士 土地の分筆
境界画定
未登記建物の表題登記社会保険労務士 年金手続き
手続ごとに専門家が細かく定められているため、分かりにくいと思います。
私共『相続専門家協会 福山』には上記すべての専門家が所属しております。
安心してご相談ください。
家族のつながりを大切にする遺産分割とは
相続人の方それぞれの相続分は民法(民法第九百条)で決まっています。
相続人が兄弟が3人なら、相続分は3分の1ずつです。
これは、民法上の割合ですから必ずしもこの割合に従う必要はないのです。
兄弟それぞれ資産、生活状況も違います。
困っている兄弟に少々の財産金額を譲って、兄弟仲良くお付き合いが続くことの方が大切だと思います。
それこそが親の思いをつなぐ相続になることでしょう。
税理士 池永 章
行政書士 佐々本 孝
ご不明点等ございましたらお問い合わせください。
一般社団法人 相続専門家協会 福山
広島県福山市王子町1-2-24
084-926-7494
おかげさまで、全国から多くのお問い合わせをいただいています。
ただ、我々は広島県福山市で活動していますので、福山市、府中市、尾道市、三原市、笠岡市など60㎞範囲のお客様に出向かせていただいています。
あしからずご了承ください。
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