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【コラム】「タンス預金」は節税になるの?
「タンス預金」は節税になるの?
日銀の2022年3月の統計によると、全国のタンス預金は1014兆円を超えるそうです。
タンス預金自体は悪い事ではなく、申告すれば何の問題もありません。
問題なのは、「タンス預金があるかどうかなんて税務署は分かりっこない」とタンス預金を隠して相続税の申告をすることです。
これは節税ではなく、脱税になります。
では、税務署はどのようにタンス預金を見抜くのでしょうか。
ここで登場するのが、2001年に全国に導入された国税総合管理KSKシステムです。
全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税のデータや国税債権などを一元的に管理しています。
そして情報を分析し、税務調査や滞納整理に活用しているのです。
このシステムにより、私たち国民一人一人の稼ぎや財産はおおよそ把握されています。
申告額とKSKシステムの理論値との乖離から、税務調査を行う過程に目星をつけ、亡くなった方の過去の預金通帳のチェックを行います。
特に現金引き出しを重点的に調べ、生活に必要な金額が多過ぎると感じたら徹底的に追求します。
また税務調査では、相続人の預金通帳もチェックされます。
相続発生前の動きだけでなく、発生後から税務調査が実施されるまでの期間も対象になります。
「いつまでもタンスの中では危ないから」と、故人が積み立てたタンス預金を自分の通帳に移したことで、履歴から見抜かれることもあります。
棚からぼた餅の入金があれば、徹底的に追求されるのです。
税務調査では、通帳などを保管している引き出しや家の金庫、銀行の貸金庫は必ずチェックされますが、家宅捜索のように隅から隅までということはありません。
ただ、「この納税者は何か隠している」と判断されれば話は別です。
現に、台所下の収納スペースやガレージのタイヤの中、畳の下などに多額の現金を隠していたことが発覚したケースもたくさんあります。
税務署の影におびえながら脱税するよりも合法的な相続税対策をした方が、金銭的にも精神的にもよほど得ということです。
税の専門家と相談しながら、ご家庭の事情に合った相続対策をお勧めします。
▶ 執筆: 種本光江(税理士)
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