養子縁組で増税になることも

2020-01-23

今回は、70歳でお亡くなりになったAさんの遺産に係る相続税にまつわる事例をお伝えします。

Aさんには、妻も子供もいなかったので、相続人は兄弟姉妹などの7名、相続税の基礎控除額は7,200万 円のはずでした。

「はずでした」というのも、実際には、 基礎控除額が3,600万円となり、想像以上に相続税を支払うこととなったのです。

では、なぜ相続税の基礎控除額が半分になり、莫大な相続税がかかるようになったのでしょうか。

その経緯をお伝えしていきます。

Aさんは、独り身でしたが、身の回りのことや財産の管理をご自身でされるほど、しっかりされていましたので、兄弟姉妹などに世話になることはありませんでした。

しかし、姪Bさんが時々来ては、「伯父さん元気?」と様子を見てくれていました。その姪Bさんが、お茶を飲んで世間話をしてくれる気遣いが嬉しく、何よりの楽しみでした。 いつしか、姪Bさんを自分の娘のように思うようになっていました。

そんな穏やかな人生を歩んでいたAさんですが、ある日、癌による余命の告知を受けます。

Aさんは、自分の財産を姪Bさんにあげたいと考えました。そこで、Aさんは姪Bさんに自分の養子になってほしいとお願いしました。

姪Bさんも自分のできる範囲で、Aさんの葬儀やお墓の世話、供養などをするつもりだったので、了承しました。

この養子縁組によって、Aさんの相続人は姪Bさんのみとなります。姪Bさんは財産の全てを受取ることができますが、相続税の申告義務も負います。 相続税の基礎控除額は、相続人が一人なので、3,600万円となります。

この事例は、いくら自分の娘のように思っても、公正証書遺言で財産を渡した方が得策でした。

なぜなら、公正証書遺言であれば、相続人の範囲は変わらないので、基礎控除額も変わりません。 また、兄弟姉妹には遺留分の減殺請求権はありませんから、財産の全てを姪Bさんに渡すことができます。

事前にAさんから相談を受けていればと、私ども専門家も悔しい思いでした。

相続手続支援センター 事例研究会

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