3月, 2020年
便利なパソコンが引き起こす相続の新たな問題
皆様の中には、パソコンやスマートフォン、デジタルカメラなどを利用されている方も多いと思います。
私は、この原稿を作成している現在、既にパソコンとにらめっこの状態です。
このように、パソコンやスマートフォンなどデジタル機器は日常生活に欠かせないものとなってきています。
それに伴い、スマホ依存症やデジタル遺品問題など様々な社会問題が出てきています。
私たち相続の専門家としても、このデジタル機器による問題に悩まされることがあります。
例えば、先に述べた『デジタル遺品問題』もその一つです。
『デジタル遺品』という言葉をご存知でしょうか。
聞きなれない言葉ですが、主に、故人が使用していたパソコンに残された大切な写真や資料、データのことです。
具体的には、
・写真 ・データ資料 ・メール ・アドレス帳のデータ
・インターネットで取引をしていた証券会社や金融機関の ID やパスワード
こういったものになります。
では、これらがどんな問題を引き起こしているのでしょうか。
①「 主人が撮った写真がパソコンに入っているんだけど、私、パソコンが使えなくて…」
相続のお手伝いをしている中で、このように困っていることをお聞きすることがあります。
また、私どもで、パソコンを起動してみても、パスワードが必要だったり、どこへ保存されているかわからなかったりして、解決できないこともあります。
②「 主人が使っていたパソコンを処分したいんだけど、大事なデータがあったらどうしよう…」
このケースもやはりパソコンに詳しくない奥様のお悩みでした。
このように、亡くなったご主人のパソコンについて、パソコンが苦手な奥様がお困りになるケースが多いように思います。
また、インターネットによる有価証券取引や預金取引をしている場合にも困ったことが起こります。
例えば、「主人がインターネットで株や預金の取引をしていたみたい…。でも私、こういうのに疎くて…。」と困られるご遺族様もいらっしゃいます。
インターネットで預金の取引をすると、通帳がありません。すべて、インターネットを介してのデータが通帳の役割を果たします。
通帳がないので、インターネットの口座に預金があるとわからずに、相続の手続を漏らしてしまうということも起きがちです。
また、手続しようにもインターネットを使ってその預金取引先の電話番号を調べ…この段階で、パソコンが苦手な方は、お手上げです。
では、どうすればよいのでしょうか。
遺された家族にもわかるようにしておく事をが大切です。その方法として、エンディングノートとよばれるものを活用すすることをお勧めします。
具体的には、次のようなことを書いておきます。
① パソコンや各種インターネット取引に関するパスワード
② 写真やデータの保存場所やその処分について
③ インターネット取引の種類や機関名
もし、遺された家族がパソコンに詳しくなかったら、私ども相続専門家協会にご相談ください。
あらゆるネットワークを利用して、対応させていただきます。
この機会に、ご自身のデジタル遺品について考えてみてはいかがでしょうか。