2月, 2020年

相続した不動産の管理をしていないと固定資産税が上がるかも!?

2020-02-29

「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律をご存知ですか?

この法律を簡単にお伝えすると、安全性や衛生面で問題のある管理されていない空き家に対して、市町村が所有者に改善を促す法律です(平成27年5 月26日より全面施行)。

現在、空き家の増加が社会問題となっています。中でも、管理されていない空き家は、「傾いて倒壊の恐れがある」「ネズミや虫が発生して不衛生」など地域の住環境に影響を与える問題を抱えています。

では、なぜこのような管理されていない空き家が増えているのでしょうか。その原因をいくつか挙げると…

・ 若い人たちが都市部で生活するようになり、親から相続した実家を持て余している。
・ 家を壊して更地にすると土地の固定資産税が上がる。
・ 建物の解体費用がかかる。
・ 田舎の不動産が売れない。

こういった理由があっても、市町村としては、この危険な状況を放っておくわけにはいきません。そこで、この特別措置法が立法されたのです。

では、この特別措置法について具体的にご説明していきます。

まず、施行元年である今年、市町村は地域住民からの問題提起に対しての対応が主となります。一方で、空き家データベースの整備をし、来年からの本格始動を目指しています。

では、本格始動するとどういったことが起こるのでしょうか。

まず、空き家データベースから「特定空き家」の認定をしていきます。具体的には、空き家への立ち入り調査をして、次のような基準から判断していきます。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

「特定空き家」に認定されると、市町村から空き家の所有者へ通知が届きます。内容は、「管理されていない現状の報告」「今後の所有者の対処の予定(管理や処分など)」「市町村まで連絡してほしい」といった内容です。

相続されていない未分割の空き家の場合には、相続人全員にこの通知が行くそうです。

この通知の後、連絡がない、改善されない等の状況によって、市町村の対応は、①指導、②勧告、③命令、④代執行の順に強制力を強めていきます。

④代執行とは、市町村が代わりに空き家の除去や修繕等をし、その費用を所有者に請求する方法です。これは、かなりの強権ですから、よほどでないと適用されないでしょう。

また、②勧告を受けると固定資産税の軽減措置が受けられなくなる可能性があります。 固定資産税の軽減措置とは、例えば60坪以下の敷地では、固定資産税が1/6に減額される措置です。ですから、この軽減措置が受けられなくなると、現在の敷地の固定資産税が6倍になることがあります。

福山市役所の担当者にお話を聞きに行ったところ、次のようなことをお話しいただきました。

「メディアで大げさに言われているように、すぐに空き家を強制撤去するような法律ではないんです。しかし、社会問題となって地域住民に迷惑が掛かっていることも事実です。
私たちがお願いしたいことは、とにかく管理してほしい、将来空き家になることが予測されるのであれば、事前の対策をしてほしいということなんです。」

つまり、
・ 草刈りや庭木の手入れをする。
・ 割れた窓など破損部分を修繕する。
・ 崩れかけた塀や壁は修繕する。
をしっかりしておくことが大切です。

また、事前に将来のことを考えて、早めに不動産の処分や活用など、空き家にしない対策の検討も必要となってくるでしょう。

そもそも、空き家が社会問題となってしまった根本的な原因があります。例えば、少子高齢化や核家族化、地域の雇用の問題、そして固定資産税制の不備など。この空き家問題は、日本が抱える大きな課題の具体的な問題として現れた一端なのでしょう。これからは、田舎の上手なたたみ方がより注目されます。

土地を売って現金で相続するなら、信頼できる業者や方法で

2020-02-20

今回は、一通の遺言によって、納得できない相続をすることとなってしまった、Aさんの相続の事例をご紹介します。(平成 24 年 8 月 16 日の国税不服審判所決裁より)

経緯:Aさんは次の様な内容の遺言を残して他界されました。

・遺産である土地を売却して得た現金を長男と次男に相続させる。
・土地の売却手続きに関する一切の権限は、遺言執行者である〇〇信託銀行とする。
・〇〇信託銀行の遺言執行報酬や土地売却にかかる諸経費は長男と次男で折半する。

この遺言によって実際に、どのような事が起きたのか、見ていきましょう。

① 土地をいいように売られてしまった

遺言執行者の権限は法律で守られています。よって、この遺言の通り、遺言執行者である〇〇信託銀行は、土地の売却をすることができます。それも、相続人の意向に一切従うことなく。(売却希望金額についても)
実際の売却金額は、6,500 万円でした。 しかし、後に登場する審判所は時価を 1 億 2,500 万円とみています。つまり、時価の約半値で売られてしまったわけです。

② 相続税の税務調査

この売却した土地の相続税評価額は 1 億円 でした。しかし、実際の売却額である 6,500 万円を土地の評価額として相続税申告をしました。
すると、税務署調査が入り、その土地は 1 億円が相続税評価額だと言ってきたのです。
当然、相続人は、納得できません。安く売られた上に、相続税申告の際には、1 億円として評価するよう言われたわけですから。
そこで、相続人は、国税不服審判所でこの土地の評価額を巡って争いました。

相続人の主張は次の通りです。

・遺言執行者の売却に従うしかなかった。自分の意思ではどうにもならないのだから、実際
 に売れた 6,500 万円が時価だ。
・故意に土地の売却額をさげるように売り急いだわけでもない。開発用地だから安くなった
 んだ。

税務署側によると…

・ 6,500 万円は買主の希望する言い値だったから、時価とは言えない。
・相続開始から 2 ヶ月での売却は、売り急ぎであり、不特定多数間で決まる時価とは異な
 る。
・公示価格と近隣取引事例による実勢価格は 1 億 1,800 万円だ。

両者の主張を受けて、国税不服審判所は…

・売却土地の利用状況、環境、地籍、形状等は公示地と全く同一で、開発用地に限定されな
 い。
・財産評価通達では、【「特別の事情」がある時に限り、路線価によらない時価での申告を
 認める】とあるが、本件は特別の事情があるとは言えない。

これらの事情から、税務署の処分を適法と裁決しました。

なお、この時、前述の通り、国税不服審判所は時価を 1 億 2,500 万円と認識しています。

結果、この不動産を買った買主は、土地を安く仕入れて、たった 2 ヶ月で売却まで済ませて得をしました。

遺言執行者の〇〇信託銀行も職務を 2 ヶ 月で済ませたわけですから、得をしました。

相続人は、この土地をいいように売られてしまったあげく、相続税をたくさん持っていかれ、損をしました。

このような遺言を残していなければ…信頼できる不動産屋さんに依頼して、丁寧に売却できたら…そうすればもっと相続人の立場に立った相続がされたかもしれません。

遺言は、相続争いを防いだり、手続を簡単にさせたりとメリットが多いですが、利用の仕方によっては、このような悲劇を招いてしまうこともあります。

信頼できる業者を選定し、安心して任せることが大切です。

㈱バード財産コンサルタンツ 「バードレポート 第 1014 号」より

遺言が原因で争いに

2020-02-13

遺言があったために、相続争いとなり、長期化した事例をご紹介します。

Aさんの家族は、妻Bさんと長女Cさん、二女Dさんです。娘は二人とも、結婚してそれぞれの家庭を築いています。長女Cさんは夫と娘、二女Dさんは夫と息子に恵まれました。

そんなある日、Aさんが亡くなり、相続が発生しました。相続人は、妻Bさんと長女Cさん、二女Dさんです。

財産は、預貯金と不動産。また、「遺言」と書かれた自筆証書遺言と思われる封筒を相続人全員が確認しています。

長女Cは、遺言について書籍を読み、妻Bさんと二女Dさんに言いました。

「自筆遺言は、家庭裁判所で検認という手続きを経ないと、開封してはいけないらしいよ。私が、検認の段取りをするから、この遺言は預かるね。」

妻Bさんも二女Dさんも、責任感の強い長女Cさんの言葉に安心して、納得しました。

しかし、長女Cさんは、友人からの一言で不安になります。

「遺言の内容は、まだ見ていないの?不安じゃない?もしCさんに損なことが書かれていたらどうする?」

長女Cさんは、この不安に耐えられず、検認前に遺言を開封してしまいました。そして、その内容に愕然としました。

内容は、Aさんの血を引く男子である二女Dさんの息子へ実家の家土地を含む不動産を継承させるものでした。

もう検認どころではありません。長女Cさんは、人が変わったように相続についての話し合いを拒むようになりました。

その後、数ヶ月間かけ、妻Bさんと次女Dさん、長女Cさんの家族からの説得もあり、ようやく相続について話し合いができるようになりました。

そして、相続人全員の同意で遺言とは違う遺産の分配方法で決着することとなりました。

妻Bさんや二女Dさんが、長女Cさんに対する思いやりを持って、話をされたので調停や裁判にはならなかったことが唯一の救いです。

遺言を作る時には、争いにならないような配慮もしくは、争いになった時の対策を考えて作成されることをお勧めします。

また、付言事項などで遺言者の思いを伝えれば、争いを防げるかもしれません。

相続手続支援センター 事例研究会

家族信託の活用方法

2020-02-06

「信託」と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

信託銀行による投資信託、株式、不動産など、お金持ちによる資産運用をイメージされるのではないでしょうか。

しかし、意外にも信託の歴史は古く、もともとは人々の生活に身近な物でした。そんな歴史をカンタンに少しだけご説明します。

信託が制度として確立された背景には戦争がありました。15世紀のイギリスにおける薔薇戦争です。

当時の貴族は、戦争に負けると土地を没収されました。貴族たちは、土地の没収を避けるために、戦争に行く前に信頼できる人に土地を譲渡していきました。このような背景から信託が制度として確立されていったようです。

さて、昔も今も信託の原理は同じです。 「自分の財産を他人を信じて託す」ということです。

では、現在では信託はどのように使われているのでしょうか。一部をご紹介します。

① 財産を他人に託して、特定の目的のために利用させる。
 (家の増改築、施設入所等)

② 財産の引継ぎ手を、次の世代、またその次の世代と指定する。
 (会社の同族株や不動産等)

③ 相続税対策としての活用。

③は、昨今の相続税改正に伴い、注目を浴びつつあります。今回は、相続税対策の活用について2つご紹介します。

・認知症になった後でも、贈与を続ける。

贈与は、贈与時にあげる人、もらう人の意思が必要となります。よって、認知症になると、贈与はできません。これを信託によって解決できるのです。

・贈与を受ける孫に伝えずに贈与する。

孫に贈与をする際に、よく次のようなご要望をお聞きします。
「孫に知らせずに贈与したい。人生が狂ってしまっては困るから」
これも、信託を利用すれば、もらう人が贈与の事実を知らなくても、贈与が成立します。

信託の種類や方法は、他にもたくさんあります。各ご家庭の事情に合わせたオーダーメイドの信託契約を作ることができます。

また、財産の管理や承継の問題を、家族で話し合って解決する家族信託は、家族の安心ときずなを深める、有効な解決策と考えます。

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