1月, 2020年

相続人がいない人の財産はどこへ?

2020-01-30

今回は、身寄りのないAさんの遺産にまつわる事例をお伝えします。

ある日、以前からお付き合いのある老人ホームの理事長さんから、相談があるとお声掛けいただきました。

早速、理事長さんから話をお聞きすると、最近お亡くなりになられた入居者Aさんの相続についてのご相談でした。

Aさんは、身寄りがなく、Aさんの全財産である預金の通帳(数百万円)を施設が預かっているとのことでした。

理事長さんのお悩みは、
 ・Aさんから預かっている預貯金の通帳をどうしたものか?
 ・Aさんには、本当にご家族が、特に相続人にあたるような方はいらっしゃらないのか?
ということでした。

当センターは、まず、戸籍から相続人を探すことを始めました。

結果、Aさんには、配偶者も子もなく、両親も兄弟も以前に他界されていました。よって、相続人に該当する方は、一人もいらっしゃいません。

相続人がいらっしゃらない相続では、特別縁故者(* 下記参照)が受け取る財産以外の全ては国に帰属されます。

Aさんのケースでも、特別縁故者にあたる方はいらっしゃらなかったので、国に帰属するための手続をすることになりました。

これらの手続は家庭裁判所での手続となり、複雑で時間がかかります。

もし、Aさんが遺言を書かれていれば、お世話になった方やご友人に財産を渡したり、寄付をしたりできたと思います。

このようなケースでも遺言が大切な役割を果たすのだろうと実感した事例でした。

相続手続支援センター 事例研究会

*特別縁故者  
 故人に相続人がいない、遺言書が無いケースで、故人と特別な縁故を理由に遺産を分与さ
 れる者のこと。 
 特別縁故者に該当するかしないかは、家庭裁判所の審理による審判となります。

養子縁組で増税になることも

2020-01-23

今回は、70歳でお亡くなりになったAさんの遺産に係る相続税にまつわる事例をお伝えします。

Aさんには、妻も子供もいなかったので、相続人は兄弟姉妹などの7名、相続税の基礎控除額は7,200万 円のはずでした。

「はずでした」というのも、実際には、 基礎控除額が3,600万円となり、想像以上に相続税を支払うこととなったのです。

では、なぜ相続税の基礎控除額が半分になり、莫大な相続税がかかるようになったのでしょうか。

その経緯をお伝えしていきます。

Aさんは、独り身でしたが、身の回りのことや財産の管理をご自身でされるほど、しっかりされていましたので、兄弟姉妹などに世話になることはありませんでした。

しかし、姪Bさんが時々来ては、「伯父さん元気?」と様子を見てくれていました。その姪Bさんが、お茶を飲んで世間話をしてくれる気遣いが嬉しく、何よりの楽しみでした。 いつしか、姪Bさんを自分の娘のように思うようになっていました。

そんな穏やかな人生を歩んでいたAさんですが、ある日、癌による余命の告知を受けます。

Aさんは、自分の財産を姪Bさんにあげたいと考えました。そこで、Aさんは姪Bさんに自分の養子になってほしいとお願いしました。

姪Bさんも自分のできる範囲で、Aさんの葬儀やお墓の世話、供養などをするつもりだったので、了承しました。

この養子縁組によって、Aさんの相続人は姪Bさんのみとなります。姪Bさんは財産の全てを受取ることができますが、相続税の申告義務も負います。 相続税の基礎控除額は、相続人が一人なので、3,600万円となります。

この事例は、いくら自分の娘のように思っても、公正証書遺言で財産を渡した方が得策でした。

なぜなら、公正証書遺言であれば、相続人の範囲は変わらないので、基礎控除額も変わりません。 また、兄弟姉妹には遺留分の減殺請求権はありませんから、財産の全てを姪Bさんに渡すことができます。

事前にAさんから相談を受けていればと、私ども専門家も悔しい思いでした。

相続手続支援センター 事例研究会

生前にお墓を買うと、相続税対策になる?

2020-01-17

お墓の購入費用の全国平均は、現在200万円近くにも上るそうです(2016 年 お墓の消費者全国実態調査より)。
一般家庭の場合、決して軽い負担ではありませんね。
生前にお墓を準備することを「寿陵」と言い、長寿や子孫繁栄をもたらすという言い伝えがあります。

ところで、生前にお墓を建てておくことが、ちょっとした相続税対策になるのをご存知ですか?

お墓や仏壇・仏具は祭祀財産と言い、相続税がかかりません。こうした祭祀財産は、祖先を敬うためのものであり、お金に替えられないからです。
そういうわけで、相続財産には入らないことになっているのです。

例えば、生前に200 万円のお墓を建てたとしましょう。そうすると現金が200 万円減り、200 万円の祭祀財産(お墓)を得ることになります。祭祀財産(お墓)は相続財産には含まれませんから、結果として課税対象の財産200 万円が減ったことになり、相続税対策になるのです。
一方、近年は核家族化の進行も影響し、親などの被相続人が亡くなってからお墓を建てるケースが一般的です。

この場合は、相続人が、被相続人から相続した財産からお墓の購入代金を支払うので、代金は相続税の課税対象となってしまいます。

豪華なお墓、仏壇、仏具は課税される場合も!

さて、お墓や仏壇等の祭祀財産が非課税だからと、豪華なお墓を建てたり、純金の仏壇や仏具等を買えば、更なる相続税対策になるのでしょうか?

社会通念を超える高額なお墓や仏壇等を購入した場合は、祭祀財産とは認められず、相続税の課税対象とみなされる可能性があります。(数千万円以上のものは危ない、何百万円のものは大丈夫、と考えます。)

また、生前にお墓を購入する場合は、生前のうちに購入代金の支払いをすませておくことが鉄則です。
最近はお墓をローンで購入することも増えていますが、支払いの途中で本人が亡くなってしまうと、残りの債務は相続財産から控除されません。まだ支払っていない金額は、非課税である「祭祀財産」ではなく、課税対象の「現金」が残っているものとみなされるからです。これで
は、節税効果は薄れてしまいます。

相続税対策でお墓や仏壇などを購入されるなら、生前に、一括支払いがお勧めです。

相続税申告は10人に1人 ~昨今の相続税申告状況より~

2020-01-17

平成27年に相続税の改正が行われてから、5年が経ちました。
改正内容で最も大きな影響があったのは、やはり基礎控除の引き下げです。

従来(5,000 万円+1,000 万円× 法定相続人数)だった基礎控除が、(3,000 万円+600万
円× 法定相続人数)へと40%もカットされています。
配偶者と子供2 人のケースでは、基礎控除額は8,000 万円から4,800 万円に減額されたわ
けですから、相続税がかかってしまう人が増えるのも当然と言えます。

実際に、相続税の申告にどのような変化があったのでしょうか。
改正直前の平成26 年と比較すると、相続税の課税対象となった被相続人の割合は、全体の
4.4%から8%へと、1.8 倍になりました。
広島県は8.3%(令和元年12月広島国税局発表資料より)で、全国平均よりも申告者数はわずかに多いようです。
また、相続税の優遇措置を受ける場合に、申告が必要となることがあります。

税額がゼロで申告書を提出した人を含むと、相続税申告の対象となった被相続人の割合は
10.3%になります。つまり、亡くなった方の10 人に1 人は、相続税の申告が必要になった
ということです。

相続税の改正前は、財産が自宅と多少の金融資産、という方のほとんどは、相続税なんて
気にしなくても良かったのですが、改正後は、多少でも現預金をお持ちの方は、相続税申告
の可能性を見据えて将来を考えなければならないということです。
当然のことながら、自宅以外にも不動産をお持ちの方は、相続税の申告をする可能性が高
くなるでしょう。
大切な資産を守るためにも、早い段階から、生前贈与の活用や財産の配分など、しっかり
相続対策を考えて下さい。

節税のための相続対策以外にも、大事なことがあります。

相続税は原則として、現金一括で納めます。短期間に現金を用意するのは予想以上に大変
なことです。相続税を払うためにやむを得ず不動産を売ったり借入をしたりすることのな
いように、長期的な視点で貯蓄していく必要があります。

また、忘れがちなのが二次相続への対応策です。夫の相続(一次相続)後に起きる妻の相
続まで考慮した対策を考えましょう。この場合、夫・妻それぞれの財産状況に応じて相続
対策は変わってきます。
二次相続を視野に入れていなかったがために、思わぬ額の相続税を支払う羽目になってしまっ
たということにならないよう、できれば税理士などの専門家を通じて、二次相続までトータ
ルで検討されることをおすすめします。

大切なのは、早めに動くことと、ある程度の知識を身に付けておくことです。是非ご家族を交えて、少しずつ対策を進めて下さい。

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